米国株は産業によって11種類の「セクター」に分けられています。セクターの特徴を理解することで適切なタイミングで投資を行うことができます。
11種類のセクターに関する記事はこちらです。
米国株・素材セクターについて解説していきます。
【この記事でわかること】
- 素材セクターの特徴
- 素材セクターの代表銘柄
- 素材セクターの代表ETF
- 別セクターとのリターン比較
米国株・素材セクターについて
素材セクターは化学材料、金属材料に関連する企業で構成されています。素材セクターは化学品がメインになっておりますが、金もこのセクターに含まれます。
代表的な銘柄は【LIN】リンデグループ、【SHW】シャーウィン・ウィリアムズ、【ECL】エコラボ、などがあげられます。素材メーカーは一般消費者向けのサービスではないので、聞きなじみのない企業が多いです。
素材セクターは景気に左右されやすいシクリカルなセクターです。素材セクターはものづくりに必要な材料を提供しているので景気が悪いと出荷量も落ち込みます。
2018年の金融危機では金融セクターに次ぐワースト2位のリターンとなっています。それでも2020年はS&P500を上回るリターンを出しています。
金融セクターに関する記事はこちらです。
素材セクターの特徴
素材セクターの特徴は下記の通りです。
- 景気に左右されやすいシクリカルなセクター
- 過去10年間でS&P500を下回るリターン
- 原油価格の影響を受けやすい
- 配当能力は企業により異なる
素材セクターの過去10年リターンは+13.75%でS&P500の+17.15%を下回っています。10年間で7度もS&P500を下回るなど、 好調と不調の差がはっきりしているセクターだと思います。
素材セクターを代表する【VAW】バンガード・米国素材セクターETFと【VOO】S&P500ETFの過去5年間株価推移グラフは以下の通りです。

過去5年では 【VAW】バンガード・米国素材セクターETF が【VOO】S&P500を大きくアンダーパフォームしています。
2020年のコロナショックではS&P500は株価を上回るリターンを出していますが、2021年は下回っています。米国では人員不足によるサプライチェーン問題が深刻で半導体も不足しています。
原油価格も7年ぶりに80ドルを記録するなど高騰しています。素材セクターは外的要因をうけやすいセクターなので業績が安定していないことも要因です。
エネルギーセクターに関する記事はこちらです。
素材セクターの代表銘柄
素材セクターの代表的な銘柄は以下の通りです。
- 【LIN】リンデグループ
- 【SHW】シャーウィン・ウィリアムズ
- 【ECL】エコラボ
- 【APD】エアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズ
素材セクターは化学・素材メーカーが対象となっています。リンデグループは時価総額1,700億ドルを超える大型企業です。ドイツのリンデと米国のプラクスエアが経営統合して今の会社になっています。世界100か国以上に事業展開しています。
日本では花王・資生堂・旭化成などが素材メーカーに分類されます。
素材セクターETF
素材セクターを代表するETFは以下の通りです。
- 【VAW】バンガード・米国素材セクターETF
- 【MXI】iシェアーズ グローバル素材ETF
- 【XLB】素材セレクト・セクターSPDR®ファンド
ティッカーシンボル | VAW | MXI | XLB |
純資産[十億ドル] | 3.860 | 0.619 | 7.730 |
設定日 | 01/30/2004 | 09/21/2006 | 12/22/1998 |
経費率 | 0.10% | 0.43% | 0.18% |
保有銘柄数 | 121 | 102 | 28 |
直近配当利回り | 1.83% | 4.77% | 2.12% |
過去1年リターン | 17.34% | 9.00% | 20.63% |
過去3年リターン | 17.41% | 16.01% | 22.17% |
過去5年リターン | 10.57% | 10.58% | 11.19% |
過去1年リターンは【VAW】と【XLB】が20%前後のリターンをだしています。特にVAWは経費率が低いので長期保有にも適しています。
過去5年間の株価推移は以下の通りです。

【VAW】バンガード・米国素材セクターETF
【VAW】バンガード・米国素材セクターETFは119社で構成されています。過去5年間で株価は+62.03ドル(52.44%)となっています。
バンガード社のETFは経費率0.10%と低コストなのが魅力です。
組入上位10銘柄は以下の通りです。
ティッカーシンボル | 銘柄名 | 組入比率 |
LIN | リンデグループ | 12.88% |
SHW | シャーウィン・ウィリアムズ | 6.00% |
APD | エアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズ | 4.78% |
ECL | エコラボ | 4.53% |
FCX | フリーポート・マクモラン | 4.02% |
NEM | ニューモント・マイニング | 3.67% |
DOW | ダウ | 3.63% |
DD | デュポン・ド・ヌムール | 3.05% |
PPG | PPGインダストリーズ | 2.86% |
IFF | インターナショナル・フレバー・アンド・フレグランス | 2.81% |
【MXI】iシェアーズ グローバル素材ETF
【MXI】iシェアーズ グローバル素材ETFは102社で構成されています。過去5年間で株価は+27.54ドル(46.61%)となっています。
米国企業だけではなく、フランスの【AI】エア・リキード、オーストラリアの【BHP】BHPグループ、日本の【4063】信越化学工業、ドイツの【BAS】BASFなども組み入れらています。
組入上位10銘柄は以下の通りです。
ティッカーシンボル | 銘柄名 | 組入比率 |
LIN | リンデグループ | 6.74% |
AI | エア・リキード | 3.19% |
BHP | BHPグループ | 3.08% |
SHW | シャーウィン・ウィリアムズ | 3.03% |
4063 | 信越化学工業 | 2.68% |
APD | エアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズ | 2.68% |
BAS | BASF | 2.53% |
RIO | リオ・ティント | 2.48% |
FCX | フリーポート・マクモラン | 2.22% |
ECL | エコラボ | 2.21% |
【XLB】素材セレクト・セクター SPDR®ファンド
【XLB】素材セレクト・セクター SPDR®ファンドは28社で構成されています。過去5年間で株価は+31.14ドル(59.79%)となっています。
構成銘柄は【VAW】とあまり変わりませんが、銘柄数が少ないので1社あたりの構成比率は高くなっています。
組入上位10銘柄は以下の通りです。
ティッカーシンボル | 銘柄名 | 組入比率 |
LIN | リンデグループ | 17.11% |
SHW | シャーウィン・ウィリアムズ | 7.74% |
APD | エアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズ | 6.85% |
ECL | エコラボ | 5.72% |
FCX | フリーポート・マクモラン | 5.42% |
NEM | ニューモント・マイニング | 4.57% |
DOW | ダウ | 4.31% |
DD | デュポン・ド・ヌムール | 4.12% |
PPG | PPGインダストリーズ | 3.75% |
IFF | インターナショナル・フレバー・アンド・フレグランス | 3.70% |
S&P500セクター別パフォーマンス
S&P500セクター別パフォーマンスは以下の通りです。

素材セクターの過去10年リターンは+13.75%でS&P500の+17.15%を下回っています。10年間で7回もS&P500を下回るなど、好調と不調の差がはっきりしているセクターだと思います。
景気に左右されやすいシクリカルなセクターなので2008年の金融危機や2018年の米中貿易摩擦では株価が急落しています。
外的要因をうけやすく、長期的なリターンは安定しません。
まとめ
素材セクターの特徴は以下の通りです。
- 景気に左右されやすいシクリカルなセクター
- 過去10年間でS&P500を下回るリターン
- 原油価格の影響を受けやすい
- 配当能力は企業により異なる
代表的な銘柄は【LIN】リンデグループ、【SHW】シャーウィン・ウィリアムズ、【ECL】エコラボ、などがあげられます。素材メーカーは一般消費者向けのサービスではないので、聞きなじみのない企業が多いです。
素材セクターは景気に左右されやすいシクリカルなセクターです。素材セクターはものづくりに必要な材料を提供しているので景気が悪いと出荷量も落ち込みます。
米国ではサプライチェーン問題が深刻になっており、半導体不足になっています。併せて原油価格が7年ぶりの高値を記録するなど素材セクターにとってマイナス要素です。
素材セクターは投資タイミングが難しいセクターだと思います。
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