11月24日に毎年恒例の「年末ジャンボ宝くじ」が販売開始となりました。宝くじに当選すれば、1等賞金7億円、前後賞1億5000万円を手にすることができます。宝くじに当選すれば、一夜で億万長者も夢ではありません。1億円を年利4%で運用すれば、年間で400万円手にすることができるのでFIREも可能です。
しかしそんなに簡単ではありません。年末ジャンボ宝くじを求めて長蛇の列を作っているニュースを見ると、なんだかもったいない気がしてなりません。株式投資をギャンブルだと言いながら、宝くじを買っている人は本質を分かっていないのかもしれません。
宝くじは「マイナスサムゲーム」です。宝くじで大金を手にすることができるのは一握りで、大半の人は負けるように設定されています。一方で株式投資は「プラスサムゲーム」なので参加者全員が勝てるようになっています。
今回は「年末ジャンボ宝くじ」より「株式投資」をおすすめする理由について解説します。※この記事はあくまで宝くじを否定するわけではなく、筆者の考えを書いています。
年末ジャンボ宝くじより株式投資をおすすめする理由
年末ジャンボ宝くじより株式投資をおすすめする理由は、「宝くじはマイナスサムゲーム」で「株式投資はプラスサムゲーム」だからです。「プラスサム」「マイナスサム」という言葉はゲーム理論という分野で出てくる専門用語です。
それぞれ解説していきます。
- マイナスサムゲーム→参加者全員の利得合計がマイナスになるもの
- プラスサムゲーム→参加者全員の利得合計がプラスになるもの
- ゼロサムゲーム→参加者全員の利得合計がゼロになるもの
マイナスサムゲーム
マイナスサムは参加者全員の掛け金の足し算が常にマイナスになることです。宝くじやパチンコなどがマイナスサムゲームに該当します。
マイナスサムゲームは参加者が常に負けるように設定されています。例えば宝くじの還元率は46.5%なので、投資をした時点で53.5%を失うことになります。市場全体で1000億円を集まった場合に46.5%(465億円)が参加者に還元され胴元が53.5%(535億円)を手にすることになります。
宝くじは購入する時点で半分以上の損失を抱えることになります。参加すれば必ず損をするのがマイナスサムゲームです。市場全体で集まった資金をこえた金額を参加者が受けることができません。
宝くじは公平に見えてパチンコや競馬より悪い還元率となっています。
各ギャンブルの還元率
宝くじの他にもパチンコや競馬などのギャンブルもマイナスサムゲームに含まれます。実はギャンブルごとに還元率は異なっています。
各ギャンブルの還元率一覧は以下の通りです。
ギャンブル名 | 還元率 |
カジノ | 93~98% |
パチンコ・パチスロ | 80~85% |
競馬 | 70~80% |
ボートレース | 75% |
競輪 | 75% |
オートレース | 70% |
宝くじ | 46.5% |
宝くじはパチンコや競馬などのギャンブルより悪い還元率なっています。パチンコや競馬は知識や経験で多少は勝率をあげることができるかもしれませんが、宝くじは「運まかせ」です。1億円や3億円など夢のある話で広告をだしていますが、現実は半分もかえってきません。
マイナスサムゲームは参加すればするだけ負債が大きくなります。どこかで一発逆転を狙い続けることには取り返しのつかない金額になっているかもしれません。
宝くじでお金を増やすことは競馬やパチンコより難しい話です。
プラスサムゲーム
マイナスサムゲームとは反対に参加全員が変える設定になっているので、プラスサムゲームです。プラスサムゲームは参加者全員の掛け金の足し算がプラスになることで、株式投資が該当します。
株式を発行している会社はサービスという付加価値を生み出すころで社員の賃金や株主へ配当を支払います。会社が付加価値を生み出し続けることで社会全体が大きくなっていきます。S&P500のような長期的に右肩上がりに成長する市場への投資はプラスサムゲームだと言えます。

米国経済への投資は理想的なプラスサムゲームとなっています。しかしプラスサムゲームにするには条件があります。
プラスサムゲームにするには「長期・分散」が必要になってきます。
長期的に投資を続ける
米国経済は右肩上がりに成長していますが、短期的にはマイナスになることも度々あります。ジェレミー・シーゲル氏の著作である「株式投資の未来」に資料があります。
1950~2009年の米国株投資における投資期間と年平均リターンを図に表しています。

株式投資は長期的には右肩上がりに成長していますが、短期的には大きくマイナスになることもあります。15年以上投資を続けることで4~18%のリターンを出すことができます。逆に10年以下になるとタイミングによってはマイナスになる可能性もあります。
株式投資をプラスサムゲームにするためには最低でも15年以上投資を続ける必要があります。
分散能力が優れたETFを選ぶ
投資期間も重要ですが、投資先も重要です。前述したように投資の基本は「長期・分散」です。長期間の投資を続けられていても、分散されていなければリスクは大きくなります。
時価総額世界1位だった、【GE】ゼネラル・エレクトリックの株価は2000年から4分の1まで下落しています。ゼネラル・エレクトリックの例は極端ではありますが、個別株投資は長期間でも負ける可能性は大いにあります。
ゼネラル・エレクトリックに関する記事はこちらです。
個別株ではなくETFを選ぶことで分散の問題を解決することができます。
バンガードが運営するセクター別ETFの過去10年間のリターンは以下の通りです。
名称 | ティッカー | 過去10年リターン |
バンガード・米国情報技術セクターETF | VGT | 791.1% |
バンガード・米国一般消費財セクターETF | VCR | 610.8% |
バンガード・米国ヘルスケアセクターETF | VHT | 399.6% |
バンガード・米国資本財セクターETF | VIS | 282.3% |
バンガード・米国金融セクターETF | VFH | 245.0% |
バンガード・米国素材セクターETF | VAW | 185.4% |
バンガード・米国生活必需品セクターETF | VDC | 180.1% |
バンガード・米国通信サービスセクターETF | VOX | 136.1% |
バンガード・米国公益事業セクターETF | VPU | 123.8% |
バンガード・米国不動産セクターETF | VNQ | 113.9% |
バンガード・米国エネルギーセクターETF | VDE | 4.5% |
過去10年間のリターンは11セクター全てプラスのリターンとなっています。特に【VGT】バンガード情報技術セクターETFは約800%の成長率となっています。
セクターETFの他にもS&P500指数に連動した【SPLG】SPDRポートフォリオS&P500ETFやナスダック100指数に連動した【QQQ】インベスコQQQトラスト・シリーズ1も優れたETFとなっています。
セクターに関する記事はこちらです。
まとめ
今回は宝くじより株式投資投資をおすすめする理由について解説しています。
宝くじは「マイナスサムゲーム」なので参加すればマイナスが大きくなる仕組みとなっています。一方で株式投資は「プラスサムゲーム」なので参加者全員がプラスになる仕組みです。
しかし株式投資をプラスサムゲームにするためには「長期・分散」が必要になっています。最低でも15年以上投資を続けることでリターンはプラスになります。
優れたETFを選ぶことで簡単に分散することができるので、セクターETFやS&P500ETFなど選んでみてください。
楽天証券で購入可能なステート・ストリートETF「21種類」に関する記事はこちらです。