楽天証券は2022年4月からマネーブリッジ設定での普通預金金利の優遇金利と投資信託にかかる進呈ポイントの条件が変更になります。
どちらのサービスも資金が多い投資家にとって死活問題になるので、今回の件を受けてメイン口座を他のネット証券へ移す人もいるかもしれません。
2022年2月25日からマネックス証券はマネックスカード投信積立サービスを開始します。マネックスカード投信積立サービスはマネックスカードによる投信つみたて利用時のポイント還元率が1.1%となるサービスです。
今回は楽天証券の改悪されたサービスとSBI証券、マネックス証券の新サービスについて解説します。

楽天証券の改悪サービスについて
今回の変更されるサービスは以下の通りです。
- 投資信託のポイント進呈条件の変更
- マネーブリッジ設定での普通預金金利の優遇金の変更
- 楽天カードのクレジット決済のポイント還元率の変更
投資信託のポイント進呈条件の変更
投資信託のポイント進呈条件の変更点は以下の通りです。
2022年4月からポイント獲得条件を「一定の残高を保有している場合」から「一定の残高を月末時点の残高が、はじめて達成した場合」に変更になります。
楽天証券ではこれまで、投資信託の残高に応じて投資信託資産形成ポイントを付与していましたが、今回の変更によってはじめて一定金額に達した場合のみに限定されてます。
従来の投資信託資産形成ポイントは、50万円以上200万円未満で20ポイント、200万円以上400万円未満で80ポイントなど、毎月月末時点の投資信託の残高に応じてポイント付与してていました。
しかし、2022年4月以降は、月末時点の残高が、はじめて10万円に到達すると10ポイント、100万円を超えると100ポイントなど、一定金額に達した場合のみにポイント付与する形となります。
※ハッピープログラム対象の投資信託にかかる進呈ポイントの条件も同様です。
達成残高と進呈ポイントは以下の通りです。
●2022年4月以降のポイント進呈条件(投資信託資産形成ポイント)

●2022年3月までのポイント進呈条件(投資信託資産形成ポイント)

これまでは投資信託の残高が2,000万円以上あれば、毎月800ポイントを受け取ることができましたが、4月以降は、条件達成時のみになるので、まさに改悪だと言えるでしょう。
マネーブリッジ設定での普通預金金利の優遇金の変更
今回の発表では普通預金金利の優遇金も対象になっています。
変更点は以下の通りです。

これまで、楽天証券と楽天銀行の口座を連携することで金利が年0.10%受け取ることができましたが、2022年4月以降は300万円までは年0.10%、300万円を超える部分が0.04%に変更となります。
1,000万の預金残高であれば、以下のように変更されます。
- 【現行】①1,000万×0.10%=10,000円
- 【改定後】①300万×0.10%=3,000円 ②700万×0.04%=2,800円 ①+②=5,800円
こちらも保有金額が大きい投資家ほど影響を受けることになります。
楽天カードのクレジット決済のポイント還元率の変更
一番大きな変更点はクレジット決済のポイント還元率が改悪されたことではないでしょうか。
2022年9月以降のポイント還元率は以下の通りです。

これまで楽天カードのクレジット決済によるポイント還元率は1%でしたが、9月以降は信託手数料0.4%未満の低コストファンドの還元率が0.2%となります。
「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2021 」でも表彰された、eMAXIS Slimシリーズや楽天VTIなども該当します。
低コストファンドを毎月5万円積み立てた場合、500ポイントから100ポイントに減額されてしまいます。
一方で救済措置も同時に発表しています。楽天キャッシュ決済を活用すれば、低コストファンドの還元率1%を維持することができます。
楽天キャッシュ決済での投信積立のイメージ図は以下の通りです。

複雑でわかりづらい構図になっていますが、楽天キャッシュを経由することでポイント還元率を維持させることができます。
これまで楽天カードのクレジット決済は上限5万円でしたが、楽天キャッシュを併用することで最大10万円まで積立が可能になります。
- 楽天カード決済→月5万円(ポイント還元率1% or 0.2%)
- 楽天キャッシュ→月5万円(ポイント還元率0.5%)※キャンペーン中は1%
- 合計→月10万円(ポイント還元率0.35%)※低コストファンドの場合
2022年8月から12月買付分まではキャンペーンで還元率が0.5%上乗せされるので、低コストファンドでも最大1%の還元率を維持することができます。
楽天キャッシュ決済は積立NISAも該当するので、ポイント還元率は悪くなりますが、これまで通りの運用は可能になっています。
切替が可能となる日程や切替方法の詳細については、5月下旬頃をめどに楽天証券のホームページ上で案内されるようです。
SBI証券のサービスについて
楽天証券の発表を受けて、SBI証券にも動きがありました。
SBI証券が発表した内容は以下の通りです。
- 投信お引越しプログラムサービスの恒久化
- SBIプレミアムチョイスを開始
- SBI証券への投信乗り換えキャンペーン
投信お引越しプログラムの概要
SBI証券は期間限定で実施していた投資信託を移管入庫する際、手数料を負担(キャッシュバック)する「投信お引越しプログラム」を恒久化することを発表しました。

投信お引越しプログラムの概要は以下の通りです。
SBI証券への投資信託の移管入庫を完了し、各移管入庫完了月に応じた書類受付期限までに申込書等が当社に到着したお客さまに対し、他社で支払った出庫手数料をキャッシュバック
SBI証券は、他社から投資信託の移管に対する費用を負担することで楽天証券からの顧客獲得を狙っています。
SBIプレミアムチョイスの概要
SBI証券は投信お引越しプログラムと併せて、「SBIプレミアムチョイス」開始することも発表しています。
SBI証券はこれまで投信信託の保有額に応じてTポイントもしくはPontaポイントを付与する、投信マイレージサービスを実施しています。SBIプレミアムチョイスは対象ファンドのポイント付与率がアップするサービスとなっています。
ポイント付与率は以下の通りです。

通常の銘柄は1,000万円以上保有していれば0.20%のポイントを受け取ることができますが、SBIプレミアムチョイス対象の銘柄は0.25%となっています。
SBIプレミアムチョイスの対象ファンドは以下の通りです。
- 野村未来トレンド発見ファンドBコース(為替ヘッジなし)
- 農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね
- モルガン・スタンレー グローバル・プレミアム株式オープン(為替ヘッジなし)
- ひふみプラス
- フィデリティ・米国株式ファンド Bコース(資産成長型・為替ヘッジなし)
- iTrust世界株式
- スパークス・新・国際優良日本株ファンド
- コモンズ30ファンド
- キャピタル世界株式ファンド
- アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)
- One国内株オープン
人気のあるeMAXIS Slim米国株式(S&P500)やSBI・V・全米株式インデックス・ファンドは対象外となっているので、選ぶ時は注意してください。
SBI証券への投信お乗り換えが超おトクキャンペーン
SBI証券は他の金融機関で運用している投資信託を移管&新規取引で最大100,000ポイント還元されるキャンペーンを実施いたします。
キャンペーンの概要は以下の通りです。

キャンペーン対象期間中に他の金融機関で運用している投資信託(合計10万円以上)をSBI証券へ移管させて、追加で10万円以上の買い付けを行うことで1,000円~100,000ポイント還元するサービスを開始しています。

また還元されるポイントは投信買付の約定金額によって当選確率が変わる仕組みになっています。

移管する投資信託の合計ではなく、買付金額になっているので注意してください。
マネックス証券の新サービスについて
マネックス証券は2022年2月25日からマネックスカード投信積立サービスを開始します。マネックスカード投信積立サービスはマネックスカードによる投信つみたて利用時のポイント還元率が1.1%となるサービスです。
1.1%は楽天証券やSBI証券を含む、主要ネット証券の中で最も高い還元率となっています。※ゴールド・プラチナカードを除くスタンダードカードで比較
マネックスカード投信積立サービスの概要
マネックスカード投信積立サービスの概要は以下の通りです。
対象カード | マネックスカード |
サービス開始時期 | 2022年2月25日(金) |
申込単位 | 原則1,000円以上1円単位 ※ファンドによって異なる場合あり |
積立設定上限額 | 毎月合計5万円以下 |
対象銘柄 | マネックス証券で取り扱う積立が可能な銘柄 |
対象口座 | ●特定口座/一般口座 ●NISA口座/つみたてNISA口座 |
マネックスポイント還元率 | 当月の約定金額全体の1.1% |
マネックスカード投信積立サービスはマネックス証券で投信つみたてを行うことができる「全てのファンド」が対象で、特定口座・一般口座・NISA口座・つみたてNISA口座にも利用することができます。
積立設定の上限額は毎月5万円までとなっているので、積立NISAの満額(月3.3万円)利用することが可能です。
マネックスポイントの還元率は積立金額の1.1%で、主要ネット証券の中で最も高い設定となっています。※ゴールドカード・プラチナカードは除くスタンダード(通常)カードで比較
マネックス証券では約1,200本の投資信託を取り扱っており、低コストで運用ができる「eMAXIS Slimシリーズ」や「SBI・Vシリーズ」なども1.1%の還元対象となっています。
おすすめの投資信託は「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2021 」の記事を参考にしてみてください。
主要ネット証券のポイント還元率比較
主要ネット証券のポイント還元率表は以下の通りです。

マネックスカード投信積立サービスの還元率は1.1%で主要ネット証券で最も高い設定となっています。
楽天証券からマネックス証券へ投資信託を移管する際にかかる手数料はマネックス証券が負担してくれるので、余計なコストをかける必要がありません。
還元率表に記載はありませんが、エポスカード×tsumiki証券や東急カード×SBI証券などクレカ積立サービスは競争が激しくなっています。手数料やポイント還元率を争うことは投資家にとってはメリットがありますが、利益が確保できず改悪される可能性は十分あります。
ポイントはあくまで「おまけ」なので、あまりふりまわされないようにしてください。
今だけ、マネックス証券の口座開設はポイ活サイトのハピタスを経由すると、口座開設+新規取引で4,000ポイント受け取ることができるので、まだ開設していない人は下記画像から申込してください。
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まとめ
今回は楽天証券のサービス改悪について解説してきました。
投資信託のポイント付与や普通預金金利の変更など運用資金が多い投資家が影響を受ける形となっています。
SBI証券は待ってましたと言わんばかりに投資信託の移管手数料を負担するサービスを恒久化しました。各証券会社が手数料やポイント還元を競うことは投資家にとってメリットがありますが、全体が疲弊して改悪される心配もあります。
楽天証券はクレカ投資でのポイント還元率が悪くなり、市場優位性は下がりましたが、ポイントはあくまでおまけだと思ってください。移管先のSBI証券やマネックス証券が同じように改悪される可能性は十分になるので、振り回されないようにしてください。
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